心はいつもどまんなか。by tadashian

健康のためノルディックウォーキングに励むシニア、世界情勢リテラシーを高める日々

2026年、会社を揺るがす法改正ラッシュ──約40年ぶりの労働基準法大改正から考える、企業と働く人の未来

 

2026年、会社を揺るがす法改正ラッシュ──約40年ぶりの労働基準法大改正から考える、企業と働く人の未来

皆さん、こんにちは。tadashianです。

最近、経営者や人事担当者の知人から、こんな不安の声を聞くことが増えました。

「2026年の法改正、どう対応すればいいのか分からない」
「現場の負担がさらに増えるのでは」
「中小企業には厳しすぎる内容じゃないか」

確かに、2026年は企業経営にとって大きな転換点になります。約40年ぶりとも言われる労働基準法の大改正をはじめ、ハラスメント対策の義務化、社会保険の適用拡大など、実務への影響が極めて大きい改正が目白押しです。

67歳のシニアブロガーとして、これまで日本の労働環境の変化を見続けてきた私から見ても、今回の改正は「働き方の常識」を根底から変える可能性を秘めています。

この記事では、2027年に施行される主要な法改正について、その背景から企業が取るべき対応まで、できるだけ分かりやすく解説していきます。感情論ではなく、事実とデータに基づいて、冷静に考えていきましょう。

なぜ今、これほど大規模な改正が行われるのか

まず考えるべきは「なぜ今なのか」という点です。

2026年の労働基準法改正は、働き方改革の推進やテレワークの普及など、コロナ禍以降の企業環境と従業員の働き方の急速な変化を背景としています。

私たちシニア世代が若い頃には想像もできなかった働き方が、今や当たり前になっています。在宅勤務、副業、フリーランス。しかし、法律はその変化に追いついていませんでした。

さらに深刻なのは、長期の連続勤務による労災事故の増加です。実際、労災保険では2週間以上の連続勤務が精神障害の認定基準の一つとされています。

つまり、今回の改正は「現場で実際に起きている問題」に対する、遅すぎたくらいの対応なのです。

約40年ぶりの労働基準法大改正──何が変わるのか

1. 連続勤務の上限規制:14日以上の連続勤務が禁止に

現行制度では4週4休を満たしていれば、連続勤務の日数に明確な上限がなく、理論上は長期間の連続勤務も法律違反にはなりませんでした。

しかし改正後は、**どのような制度を用いても14日(13日を超える連続勤務)が上限**となる方向です。

想像してみてください。2週間以上も休みなく働き続ける生活を。私自身、若い頃には2週間は普通で連続で働いたこともありましたが、今振り返ると、あれは決して健全な働き方ではありませんでした。

特に影響を受けるのは、建設業、製造業、サービス業、運送業などです。繁忙期のシフト管理を根本から見直す必要が出てきます。

2. 勤務間インターバル制度の義務化:原則11時間の休息確保

勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間を確保する制度で、2019年4月より事業主の努力義務となっていました。

しかし、2024年時点での導入実績はわずか5.7%、導入を予定あるいは検討している企業も15.6%にとどまっています。

改正後は**原則11時間のインターバル**が義務化される予定です。

例えば、深夜23時まで残業した場合、翌朝10時まで出勤できないことになります。IT業界、広告業界、医療・介護、運送業など、夜間勤務や不規則な勤務が多い業種では、業務プロセスの抜本的見直しが必要になるでしょう。

3. 法定休日の明確な特定義務

今の就業規則では「4週間のうち4日間を法定休日にする」という規定でも問題ないとされていますが、今後は休日の「どれが法定休日か」を明確にしなければならなくなります。

一見地味な変更に思えますが、これは給与計算や休日労働の管理に直結する重要な改正です。就業規則雇用契約書の変更が必要になります。

4. 有給休暇の賃金算定方式の原則化

現在は3つの賃金算定方法から選択可能ですが、そのうち2つの方法では日給制や時給制の場合に賃金が大きく減ってしまうケースがあります。

改正後は、所定労働時間で得られる通常の賃金で算定する方式が原則化される見通しです。これにより「有給を取ると損」という状況が解消されることが期待されています。

5. 「つながらない権利」の議論

勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話の対応を拒否する「つながらない権利」についても検討されています。

テレワークが普及した今、仕事とプライベートの境界線があいまいになりがちです。この「つながらない権利」は、特にテレワーク中心の企業にとって重要な論点になるでしょう。

カスハラ対策の義務化──従業員を守る企業の責任

厚生労働省は、顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント」を巡り、国内の全ての企業を対象に2026年10月に対策を義務づける方針を明らかにしました。

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先、施設利用者などが行う社会通念上許容される範囲を超えた言動により、労働者の就業環境を害することです。

カスハラが深刻化している背景

近年、接客業や窓口業務で働く人たちの精神的負担が増大しています。土下座の強要、長時間の拘束、SNSでの誹謗中傷──こうした行為は、もはや「お客様の声」ではなく、明確な「ハラスメント」です。

2025年3月、カスハラ対策を事業主の義務とする改正労働施策総合推進法案が閣議決定され、2026年中の施行が見込まれています。

企業に求められる4つの対応

企業が必ず講じなければならない措置は、(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、(2)相談窓口の設置、(3)被害者への配慮とケア、(4)カスハラ抑止のための措置の4つの柱からなります。

特に重要なのは、これまで「顧客の言うことは絶対」という文化があった企業が、従業員を守る姿勢を明確に打ち出すことです。

私が若い頃には、「お客様は神様」という言葉がもてはやされました。しかし今、本当に必要なのは、従業員の尊厳を守りながら適切なサービスを提供する、健全なバランスではないでしょうか。

社会保険の適用拡大──「106万円の壁」撤廃へ

社会保険制度も大きく変わります。

現在は週20時間以上勤務、月収8.8万円(年換算で約106万円)以上、従業員51人以上などの条件を全部満たす短時間労働者が社会保険に加入する対象となっています。

2026年以降の段階的な変更

賃金要件「月額8.8万円以上」は2026年10月をめどに撤廃される予定で、企業規模要件についても2027年10月1日から2035年10月1日までの間に段階的に撤廃されることが決まりました。

つまり、将来的には働く企業の規模にかかわらず、週20時間以上働けば社会保険に加入することになります。

企業と労働者への影響

新たに社会保険の加入対象となるパート・アルバイトは約70万人と言われており、社会保険料は労使折半なため、経営資源に限りがある中小企業にとっては大きな負担となる可能性があります。

一方で、労働者にとっては将来の年金や医療保障が手厚くなるというメリットもあります。

ただし、社会保険料を払いたくない労働者は、2026年10月以降は週20時間を超えないように労働時間を調整することが予想され、新たに「週20時間の壁」ができるという指摘もあります。

企業が今すぐ取るべき5つの準備

では、これらの改正に対して、企業は何を準備すべきでしょうか。

1. 就業規則雇用契約書の全面見直し

14日以上の連続勤務の禁止、法定休日の特定、勤務間インターバル制度の義務化、有給休暇の通常賃金方式の採用において、就業規則雇用契約書の変更が必要になります。

これは人事部門だけでなく、社会保険労務士など専門家との連携が推奨されます。

2. 勤怠管理システムの導入・更新

連続勤務日数の管理、インターバルの日次チェック、法定休日の特定など、従来の手作業やExcel管理では対応困難となり、勤怠管理システムの導入・更新が事実上必須となるでしょう。

3. カスハラ対策マニュアルの整備

カスハラの定義、対応フロー、相談窓口を明確にした社内マニュアルの作成が必要です。従業員への教育・研修(ロールプレイなど)も有効です。

4. 社会保険料負担の影響試算

改正が自社の人件費に与える影響を具体的に試算し、収支計画の見直しに着手する必要があります。

5. 業務プロセスの抜本的見直し

労働時間の制約が厳しくなる中で成果を出すには、業務の自動化・効率化・アウトソーシングなど、働き方そのものの変革が不可欠で、これは人事部門だけでなく経営戦略の中核課題となります。

法改正は「負担」なのか「チャンス」なのか

ここまで読んで、「大変そうだ」「コストが増えるだけではないか」と感じた方も多いかもしれません。

確かに、短期的には企業の負担が増えることは否定できません。特に中小企業にとっては、人材不足の中での対応は容易ではないでしょう。

しかし、長い目で見れば、これらの改正は「持続可能な働き方」を実現するための、必要な投資ではないでしょうか。

過労死や精神疾患で従業員を失うコスト、高い離職率ブラック企業としての評判──これらのリスクと比較すれば、法令遵守のコストは決して高くないはずです。

法令を遵守しながら生産性を高め、働きやすい環境を実現した企業こそが、数年後に優秀な人材を確保し、持続的に成長していく企業となるでしょう。

67歳のシニアブロガーが伝えたいこと

私は67年の人生の中で、日本の労働環境が大きく変化していく過程を見てきました。

週休2日制が当たり前になり、セクハラやパワハラという言葉が生まれ、働き方改革が叫ばれるようになり──その都度、「現場が混乱する」「企業が対応できない」という声が上がりました。

しかし、今振り返ってみれば、それらの変化は全て必要なものでした。変化に適応した企業は生き残り、拒絶した企業は淘汰されていきました。

2026年の法改正も同じです。

「こんな改正、無理だ」と嘆くのか。
「これを機に、働き方を見直そう」と前向きに捉えるのか。

その姿勢の違いが、5年後、10年後の企業の姿を大きく変えるはずです。

今、できることから始めよう

法改正・施行まで、あと1年余りしかありません。

施行までに時間的猶予はあるものの、スムーズに法改正に対応し法令遵守に備えるためには、今から就業規則や勤怠管理の見直し、従業員教育について検討を始めることが重要です。

まずは自社の現状を把握することから始めましょう。

- 連続勤務が14日を超える従業員はいないか?
- 勤務間インターバルが11時間確保できているか?
- カスハラ対策のマニュアルはあるか?
- 社会保険の適用拡大で何人の従業員が新たに対象になるか?

これらをチェックリストにして、一つずつ確認していくことをお勧めします。

専門家への相談も早めに。社会保険労務士、人事コンサルタント、勤怠管理システムのベンダーなど、頼れるパートナーを見つけておくことも大切です。

まとめ:変化を恐れず、準備を怠らず

2026年は、企業にとって大きな試練の年になるかもしれません。

しかし同時に、これは「働く人を大切にする企業」と「そうでない企業」がはっきりと分かれる年でもあります。

法改正に適切に対応し、従業員が安心して働ける環境を整備した企業は、優秀な人材を確保し、生産性を高め、持続的に成長していくことができるでしょう。

逆に、法改正を無視したり、表面的な対応だけで済ませようとする企業は、法的リスクだけでなく、人材流出や評判の悪化といった深刻な問題に直面することになります。

67年生きてきて思うのは、時代の変化に逆らうことはできないということ。そして、変化を恐れず、しっかりと準備した者だけが、次の時代を生き抜けるということです。

2026年の法改正を、企業と働く人の双方にとって、より良い未来への一歩としていきましょう。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう。

---

**参考情報**

- 厚生労働省「労働基準関係法制研究会報告書」
- 厚生労働省「ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内」
- 厚生労働省社会保険適用拡大特設サイト」

*本記事の情報は2025年11月時点のものです。最新の情報は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。*