心はいつもどまんなか。by tadashian

健康のためノルディックウォーキングに励むシニア、世界情勢リテラシーを高める日々

北朝鮮で韓流ドラマが止まらない――「恐怖の国」でいま何が起きているのか

 

北朝鮮で韓流ドラマが止まらない――「恐怖の国」でいま何が起きているのか

みなさん、こんにちは。tadashianです。

今日は、ちょっとヘビーな話をしようと思います。でも、とても大切なことだと思うので、最後まで付き合ってください。

先日、『AFPBB News KOREA WAVE』(2025年2月28日付)に、こんな記事が出ていました。

「将軍様の名も平然と」…韓流に目覚めた北朝鮮住民が“開き直り”(KOREA WAVE) - Yahoo!ニュース

**「将軍様の名も平然と」…韓流に目覚めた北朝鮮住民が"開き直り"**

この記事、2011年に脱北したハン・ソンミさんというかたのインタビューをもとにしています。

読んでいて、正直、背筋が凍りました。

---

韓流ドラマが北朝鮮で爆発的に広がっている

まず、ハン・ソンミさんが語っていた内容を紹介しましょう。

ハンさんによると、北朝鮮では今、韓流ドラマや韓国の音楽コンテンツが凄まじい勢いで広がっているそうです。

当局が必死に取り締まっているにもかかわらず、全然止まらない。それどころか、

**「どれほど取り締まっても止まらない。話し方やイントネーションまでまねるなど、手がつけられないほど韓流を追いかけるので、さらに厳しい法律が出たと聞く」**

というのです。

話し方やイントネーションまでまねる、というのが面白いですよね。これは単に「ドラマを楽しんでいる」というレベルではなく、もはや韓国文化への憧れ、同化への欲求まで出てきているということじゃないでしょうか。

そして、こんな衝撃的な話も。

**「韓国コンテンツを見た中学生30人が摘発され、キム・ジョンイル(金正日)総書記の死去を悼む期間中だったため全員が銃殺されるという話を聞いた」**

中学生が30人、銃殺……。

これが本当なら、もはや言葉もありません。

ハンさん自身も脱北前に、「韓国ドラマのCDを販売した20代男性が"南朝鮮の不純録画物を売った罪"で銃殺されるのを目撃した」と語っています。

「不純録画物」という言葉が、また恐ろしい。韓国のドラマやミュージックビデオが、「不純な録画物」として死刑に値する罪になる国。それが現在進行形で存在しているわけです。

---

 深夜2時に玄関をたたく——北朝鮮の取り締まりの実態

ハンさんはさらに、取り締まりの具体的な方法も語っています。

**「通常は3人一組で午前2〜3時ごろにドアをたたいて入り、懐中電灯で寝ている人の顔を照らす。荷物もすべて開けさせて違法物がないか確認する。人権は存在しない」**

深夜2〜3時に突然ドアをたたいて家に押し入り、寝ている人の顔に懐中電灯を当てて荷物を全部あさる。

「人権は存在しない」という言葉が、あまりにもストレートで、逆に重くのしかかってきます。

みなさん、これ、フィクションの話じゃないんですよ。

2026年の今も、地球のどこかでこれが行われているんです。

---

ハンさんの話は本当なのか?——私の率直な気持ち

ここで正直に言わなければなりません。

ハンさんの話が、どこまで正確なのか、私にはわかりません。

脱北者の証言というのは、時に誇張が含まれていたり、伝聞情報が混じっていたりすることもあります。「中学生30人が全員銃殺」というような話は、確認が難しい。

ですから私は、「これが100%事実だ」とは言えません。

でも、「あり得る」とは思います。

---

なぜ人々は命がけで韓流を見るのか

北朝鮮の人たちは、命がけで韓流コンテンツを見ようとする。

なぜか。

ハンさんはこう言っています。

**「私の周囲にも韓流コンテンツを見て脱北した人が何人もいる。孤立した生活を送ってきた人々に"こんな世界がある""希望がある"と感じさせるからこそ、当局は"不純録画物"に指定して必死に遮断しようとしている」**

「こんな世界がある」「希望がある」。

この言葉が、すべてを物語っていると思います。

北朝鮮の人たちは、「南朝鮮(韓国)はひどい状態で、人々は貧困と抑圧に苦しんでいる」と教え込まれています。金正恩体制の正当性は、この「比較」の上に成り立っているわけです。

ところが、韓流ドラマを見ると、そこには豊かで自由な生活が映っている。街には食べ物があふれ、人々は好きなことを話し、恋愛し、夢を追いかけている。

「あれ……南はひどい状態じゃないじゃないか」

そう気づいた瞬間、金正恩のウソがばれてしまう。そして一度ウソだとわかったら、もう元には戻れない。

---

ソ連末期のデジャビュ——文化の浸透が体制を変える


ソ連の末期、人々はビートルズ、ローリング・ストーンズ、スコーピオンズなどの西側の音楽に熱狂していたそうです。カセットテープを密輸して、ダビングして、手から手へと回していった。

当局は「退廃的な西側文化」として取り締まりましたが、止まりませんでした。

そして西側の音楽を聴き、映画を観た人々は思ったわけです。

「アメリカって、こんなに豊かで自由なのか。ソ連と全然違う」

やがてソ連末期には、「ソ連が崩壊して民主主義になれば、アメリカのようなバラ色の国になれる」という幻想が国民の間に広まっていきました。

そして1991年12月、ソ連は崩壊しました。

ところが現実は甘くなかった。1992年、新生ロシアのインフレ率はなんと2600%。人々の貯金は紙くず同然になり、社会は混乱した。

1993年になると、多くのロシア国民は「自由と民主主義」に幻滅していました。

もっとも、それは「自由と民主主義が悪いもの」だったからではなく、新生ロシア政府の経済政策の失敗だったのですが。いわゆる「ショック療法」の失敗です。

でもそれは別の話。

今大事なのは、**外からの文化の浸透が、体制への信頼を根底から揺るがす力を持っている**、ということです。

ソ連の人々にとってビートルズがそうだったように、北朝鮮の人々にとって韓流ドラマはその役割を果たしているのです。

---

「恐怖による統治」しか残らない

さて、では韓流ドラマの拡散は、北朝鮮体制の崩壊につながるのでしょうか。

私の考えでは、**直接的な崩壊の引き金にはならない**と思います。

理由は単純です。

たとえ国民が金正恩のウソに気づいたとしても、反体制デモを起こせば逮捕され、銃殺される。家族まで連座する可能性がある。そんなリスクを冒してまで行動に出る人は、そう多くない。

今のロシアを見てください。プーチンの戦争に反対しているロシア人は、おそらくかなりの数いるはずです。でも大規模な反戦デモは起きていない。デモに参加すれば逮捕され、大学を退学させられ、仕事を失う。そのリスクが、人々を黙らせているわけです。

北朝鮮は、その恐怖がさらに何倍も強い国です。

だから、韓流ドラマが広まっても、すぐに体制が崩れるわけではない。

でも——

ここが重要なのですが——韓流ドラマの拡散は、**「神話による統治」を不可能にしていく**のです。

「偉大な将軍様が国民を守ってくださっている」「南朝鮮より北朝鮮の方がずっとよい」という神話。それを信じさせることで成り立っていた統治が、もはや機能しなくなっていく。

残るのは「恐怖による統治」だけです。

銃を突きつけて、「黙っていろ」と言い続けるだけの統治。

それは、非常に脆い。

---

「何か」が起きたとき、国は一瞬で変わる

歴史を見ると、独裁体制というのは往々にして、「突然」崩壊します。

ルーマニアのチャウシェスク政権は、1989年12月17日にデモが始まり、わずか10日後の12月25日にチャウシェスクは処刑されました。

東ドイツのベルリンの壁崩壊も、あっという間でした。

なぜそんなに急なのか。

それは、崩壊の前には長い「準備期間」があるからだと思います。

人々の心の中で、じわじわと体制への不信と幻滅が蓄積されている。表には出ていないけれど、「もうこの体制はおかしい」「金正恩のウソはバレている」という意識が、国民の間に静かに広まっている。

その状態で、何か——たとえばクーデター、あるいは大規模な食糧危機、あるいは後継者問題——が起きた瞬間に、一気に崩れる。

なぜなら、韓流ドラマで金正恩のウソを知った国民は、もはや**「金体制を守ろう」とは思っていない**からです。

体制を守る意志がない国民に支えられた権力は、「何か」をきっかけに一瞬で瓦解する可能性がある。

---

韓流ドラマが「希望の窓」になっている

ハンさんがこう言っていたのを、もう一度思い出してください。

**「孤立した生活を送ってきた人々に"こんな世界がある""希望がある"と感じさせるからこそ、当局は必死に遮断しようとしている」**

「こんな世界がある」「希望がある」。

閉じ込められた暗闇の中で、韓流ドラマはまさに「外の光が差し込む小窓」なのだと思います。

当局がどれだけ取り締まっても、人間が「希望」を求める本能は止められない。そこに韓流コンテンツの本当の力があります。

そして、その力が今、北朝鮮体制の土台を静かに、しかし確実に侵食し続けているのだと、私は思います。

---

おわりに——遠い国の話ではない

北朝鮮の話は、日本に住む私たちには遠い世界の出来事のように感じるかもしれません。

でも、人が「真実を知りたい」「自由に生きたい」「希望を持ちたい」と思う気持ちは、国境も体制も超えた、人間の普遍的な欲求です。

ソ連の人々がビートルズのカセットを回し合ったように。

北朝鮮の人々が命がけで韓流ドラマを見るように。

どんなに強固な壁も、人間の「外を知りたい」という欲求は封じ込められない。

歴史はそれを繰り返し証明してきた。

そのことを、今日は皆さんと一緒に考えたくて、この記事を書きました。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

**tadashian**

---

*参考:AFPBB News KOREA WAVE「『将軍様の名も平然と』…韓流に目覚めた北朝鮮住民が"開き直り"」(2025年2月28日)*

「将軍様の名も平然と」…韓流に目覚めた北朝鮮住民が“開き直り”(KOREA WAVE) - Yahoo!ニュース

---