# トランプ・プーチン会談の意味を考える~シニアの視点から
こんにちは、tadashianです。最近のトランプとプーチンの電話会談について思うところを綴ってみます。私たちシニア世代は歴史の繰り返しを見てきましたから、今回の出来事も過去の教訓から読み解くことができるのではないでしょうか。
## トランプ・プーチン電話会談の結果とは
去る3月18日、トランプ大統領とプーチン大統領が電話会談を行いました。この会談の結果は次のようなものでした:
1. プーチンは、トランプが提案した30日間の一時停戦案には合意せず
2. プーチンは、ウクライナへの軍事支援や機密情報の共有を完全に停止するようトランプに求めた
3. プーチンは、発電所や石油精製所などエネルギーインフラへの30日間の攻撃停止に同意
## なぜプーチンは停戦を拒否したのか?
プーチンが停戦案に合意しなかった理由は単純です—現在、戦場で優勢だからです。
ウクライナ侵攻が始まった2022年2月から2023年6月までは、ウクライナ軍が優勢でした。ロシア軍は準備不足でボロボロの状態でした。しかし2023年6月に「プリゴジン(ワグネル)の乱」が起きた頃、ゼレンスキー大統領は「反転攻勢」を宣言しましたが、残念ながらこの作戦は失敗しました。
さらに状況を悪化させたのは、2023年11月から2024年4月まで、トランプ派の共和党議員たちがウクライナ支援に反対し、バイデン政権によるウクライナ支援が滞ったことです。この期間にロシア軍が優勢になり、その状況が固定化されてしまいました。
私は長年、国際情勢を追ってきましたが、この流れを見ると、2025年1月に大統領に就任したトランプが3月3日にウクライナへの軍事支援を止めたことで、ロシア軍がさらに優勢になったと読み取れます。
## ウクライナのクルスク州侵攻とその結末
思い返せば2024年8月、ウクライナ軍はロシア領クルスク州に侵攻し、東京23区の約2倍の領土を支配することに成功しました。これは「交渉材料」として重要な意味を持っていました。
しかし、アメリカがウクライナ軍への諜報情報提供を停止したことで、ウクライナ軍はクルスク州から撤退せざるを得なくなりました。この結果、ウクライナは大きな交渉カードを失ってしまったのです。
私のような年代の者には、この展開を見ると、トランプはプーチンが勝つように、クレムリンと連携して、あるいはプーチンに忖度して動いているように見えてなりません。
## プーチンの「停戦条件」とは?
プーチンが出した「停戦条件」は次の通りです:
1. ウクライナへの軍事支援を完全に停止すること
2. 機密情報の共有を完全に停止すること
これは何を意味するのでしょうか?
「ウクライナへの軍事支援完全停止」とは、アメリカだけでなく欧州の支援停止も求めているということです。また、「機密情報の完全停止」とは、「ウクライナ軍にロシア軍の位置情報を教えるな」という要求です。
簡単に言えば、プーチンは「ウクライナ軍を丸腰にしてくれたら、30日間の一時停戦に応じる」と言っているのです。
## 30日後の未来図
では、30日の停戦期間が終わったら、どうなるでしょうか?
年齢を重ねるとわかりますが、答えは明らかです。丸腰のウクライナ軍を存分に叩きのめし、首都キーウを陥落させ、ゼレンスキー大統領を排除するでしょう。
トランプはプーチンに従順かもしれませんが、欧州はウクライナ支援を簡単に止めることはないでしょう。彼らは理解しているのです。もしアメリカと欧州が支援を止めれば、ウクライナはロシアに完全敗北し、次は旧ソ連のNATO非加盟国モルドバ、そして旧ソ連のNATO加盟国リトアニア、エストニア、ラトビアがターゲットになることを。
## 安倍首相とプーチンの北方領土交渉から学ぶ
安倍首相が総理だった時代、プーチンは「北方領土を返還する準備がある」と何度もほのめかしました。しかし実際は、北方領土を返還する気など全くなく、日本の金と技術だけを欲していたのです。
安倍首相は2018年、4島一括返還から2島先行返還に転換し、大きな譲歩をしました。多くの人が「これで動く!」と期待しましたが、プーチンは2019年3月14日、「北方領土を返してほしければ、日本は日米安保から離脱しなければならない」と述べました。これは明らかに「返す気が全然ない」ということでしょう。
現在、トランプは安倍首相がかつていた立場に置かれています。
## エネルギーインフラ攻撃停止の意味
プーチンが発電所や石油精製所などエネルギーインフラへの30日間の攻撃停止に同意したのは、なぜでしょうか?
2023年と2024年、プーチンは冬が近づくと発電所への攻撃を激化させました。「発電所を破壊し、暖房を止めて、ウクライナ国民を自宅で凍死させよう」という、非人道的な作戦です。
しかし、もう春になりました。「ウクライナ国民を凍死させる作戦」はもう必要ありません。一方、ウクライナ軍はドローンでロシアの石油精製所を攻撃し、大きな打撃を与えてきました。この「部分合意」でウクライナのやっかいな攻撃を止めることができる。つまり、この合意もロシアに都合よくできているのです。
## 私たちシニア世代から見たプーチンの本質
私たち日本人は、プーチンの本質を知らなさすぎです。「プーチンさんは柔道が大好きな親日家。日本人より日本の心をもっている」などと、真顔で言う人がいることに驚きます。
私たち日本人は、真冬に敵地の発電所を攻撃して、民間人を凍えさせるような残酷な作戦をするでしょうか?日本人なら絶対しませんが、プーチンはそういうことを平気でする冷酷な人物なのです。
## トランプの「力による平和」の矛盾
ウクライナ停戦を目指すトランプは、本当はどうすれば事態を打開できるのでしょうか?
彼は「力による平和」を掲げています。「グリーンランドを売らなければ軍事力行使の可能性もある」とデンマークを脅し、「パナマ運河を返さなければ、軍事力行使の可能性も否定できない」とパナマを脅しました。言うことを聞かないウクライナへの軍事支援を止めました。
しかし、プーチンに対しては「停戦案をのまなければ、ウクライナ支援を激増させ、戦場でロシアを打ち負かすぞ!」とは言いません。なぜでしょうか?
ある人は「トランプは偉大な戦略家。プーチン・ロシアを取り込んで、中国と対峙するのだ」と言います。別の人は「トランプは偉大なビジネスマン。ウクライナ戦争は、アメリカが損するだけなので、早く止めたいのだ」と言います。
確かに、それも一理あるでしょう。しかし、私はトランプは仲間を増やして敵を打倒する「同盟戦略」ができないことに尽きると思います。
今後も国際情勢を見守りながら、また皆さんと考えを共有していきたいと思います。