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中国駐フランス大使の発言を巡る問題:ウクライナと旧ソ連諸国の主権

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中国駐フランス大使の発言を巡る問題:ウクライナ旧ソ連諸国の主権
2023年4月21日、中国の盧沙野駐Lú Shāyě(ルー・シャーイェ)フランス大使がフランスのテレビ局のインタビューで発言した内容が、国際的に波紋を広げています。彼の発言は、特にウクライナバルト三国など、旧ソ連から独立した国々の領土や主権に疑問を投げかけるものでした。

欧州諸国から批判の声が高まり、外交問題に発展する可能性も指摘されていますが、盧大使の発言内容とは具体的にどのようなものだったのでしょうか?

盧沙野大使の発言内容
ロイター通信の報道によると、盧氏はウクライナ南部クリミア半島の帰属問題について以下のように語りました。

クリミアは歴史的にロシアの一部である
盧氏は、クリミアが旧ソ連時代にウクライナに「渡された」と指摘しています。確かに歴史的背景を見れば、クリミアは1783年にロシア帝国エカテリーナ2世の時代に併合した地域です。しかし、1954年には当時のソ連指導者フルシチョフによって、ソ連邦ロシア共和国からソ連邦ウクライナ共和国へと管轄が移されました。

ここで重要なのは、ロシアとウクライナが共にソ連という枠組みの中にあったため、当時は特に大きな問題にならなかったという点です。しかし、1991年のソ連崩壊後、クリミアはウクライナ領として国際的に認められており、この事実をロシア自身も承認していました。プーチン大統領も2008年のインタビューで「クリミアは係争地ではない」と明言しており、ロシアが当時、ウクライナの領土を承認していた証拠です。しかし、2014年にロシアは強制的にクリミアを併合しました。

旧ソ連諸国の主権に対する疑問
盧氏は「旧ソ連諸国には主権国家としての地位を認める国際協議が存在しないため、有効な国際法的地位がない」と主張しました。この発言の真意は何でしょうか?これは、旧ソ連諸国が国際法上の主権国家として認められていない、つまり独立国としての法的地位を否定するものと解釈されます。しかし、旧ソ連の15共和国は、ソ連崩壊後にそれぞれ独立国家として国連に加盟しており、国際的には主権国家として認められています。この点で、盧氏の発言は事実に反しており、各国から強い反発を招いています。

盧大使の発言の意味するもの
盧氏の発言は、旧ソ連諸国が主権国家でないとする論理に基づいていますが、この論理を深読みすると、これらの国々は依然として「ソ連の継承国家」であるロシアの一部だという主張に繋がりかねません。実際に、ロシアはソ連の継承国家として国際的な地位を引き継いでおり、国連安保理常任理事国としての地位や核兵器保有権も持っています。

この発言が欧米諸国や旧ソ連諸国から反発を招いたのは当然であり、特にウクライナ侵攻を背景に、ロシアとの関係を深める中国への警戒感が高まっている中での発言は、国際社会における緊張をさらに高める結果となっています。

中国の領土観と今後の影響
中国の領土に関する主張は過去にも多くの議論を巻き起こしてきました。例えば、中国は日本に対して「尖閣諸島だけでなく、沖縄の領有権もない」といった主張をしています。こうした発言は、国際法や歴史的な経緯を無視したものに映ることが多く、国際社会での中国の立場に疑念を生じさせる要因となっています。

 

盧大使の発言が引き起こした問題は、中国の外交方針が今後どのように展開されるかを考える上で、非常に重要な示唆を含んでいます。特に、ロシアとの結びつきが強化される中で、中国がどのように国際社会での立場を維持し、領土問題を扱っていくかが注目されます。

 

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