小飼弾の「仕組み」進化論を読んで
こんにちは、ただっしゃん(@tadashian1)です。
家に籠っているので、10年くらい前に読んだ本の読み返しです。
著者の小飼弾さんは日本のオープンソース開発者でコンピューターネットワークの構築・機材販売、文書翻訳、コンサルティング業務などを行っています。
株式会社ディーエイエヌの代表取締役でもあります。リーマンショックショック直後に著された著書です。アフターコロナに備えるためためにも再読しました。
パラダイムシフト、新しい仕組み、枠組み、今までになかったビジネスや商品、従来とは異なる組織は仕組みは今後、どのようにして作られるのでしょうか。
再読して、私なりに要点をまとめ、考えてみました。
新しい仕組みを構築、発見にはリスクやコストや痛みが伴います。ではどう行動するのが良いのでしょうか?
著者は20%ルールというものを提唱しています。
それは既存の仕組みを回す仕事を既存の仕事の勤務時間20%で終わらせ、残りの80%を新しい仕組み作りに充てるというものです。既存の仕組みを回す仕事に労力のほとんどを費やしていては、新しい仕組みが登場した時、生き残れないというのです。
その20%ルールを実現するためにはまず、あなたが現在使っている仕組みを徹底的に改良し、チューンアップいなければならないとしています。
1、自分、そして自分が勤めている会社が生き続けてるためには、どれだけの利益を上げる必要があるかを算出します。
2、現在の自分の仕事がその利益を生み出しているかどうかを計算します。
3、その利益を出すために行っている個々の仕事の時間数を算出します。
著者は最後に算出した3の利益を出すための仕事に使う時間は、勤務時間の5分の1、つまり午前中のさらに半分の時間に実現できるように、仕事を作り込んで行くとします。従来の仕事を今までの20%に収めて、残りの80%の時間で新たな仕組みづくりをするとしています。
仕組みを作る以前の「仕組みの仕組み」の説明としては
1、自分以外の力を他から借りてくる事、すなわち「他力」と言い換えられるとしています。この「他力」は自分で考えたり、「自律」して動けるという特徴を持っています。
2、もう一つが「テコ(レバレッジ)」自分の力を別の形に変換して10倍にも100倍にもして行くことです。このテコには公式やマニュアルといった目に見えないものも含まれるとしています。
仕組み作りという点においてプログラマーほど熟知している人種はいないとしています。なぜなら、プログラムこそ究極の仕組みと言えるからです。プログラムを日々扱いながら、いかに効率的かつ的確にコンピューターに仕事をさせるかを考えているプログラマーは、仕組みづくりの達人と言えます。でも、自分でプログラミングするつもりがない人も、優秀なプログラマーのものの考え方を身に付けることで、仕事を驚くほど効率化することができるようになるとしています。
できるプログラマーの3大美徳を著書はなんと「怠慢」「短気」「傲慢」としています。
1、「怠慢」な仕組み作りのポイントは
◇ 繰り返しできるところを見つけ出します
◇ 繰り返して使えそうなものは名前を付けて保存し、再利用しやすくしておきます
◇ 自動化できるところがないか探してその方法を考えます
2、「短気」な仕組み作りのポイントは
◇ 置き換えられるのがどれかを探します
◇ 置き換えられないものをベースにひな形を作っておきます
◇ 要望に柔軟に応えられる仕組みを作ります
3、「傲慢」な仕組み作りのポイントは
◇ 機能ごとに仕組みを作り、メンテナンスしやすくします
◇ 仕組みを作ったら自動化する方法がないかを常に考えます
◇ 作った仕組みは名前を付けて保存します
以上の「3大美徳」を心がけて、従来の仕事を20%の枠に収めるようにしていくとしています。
優秀なプログラマーは必至に遊びます。暇さえあればほぼ例外なく遊びます。「遊び」には「楽しむために何かをする」という意味も、そして「余裕」という意味もあります。仕組み作りには、そのどちらの遊びも不可欠としています。
「仕組みは使ってなんぼ」としていますが、ひとつ例外があります。それは「安全性を確保」するための仕組みとしています。
1、テストを幾度も重ねます
◇ 働くべきときに確実に働くことが必要です
◇ 働くべきでない時には絶対に何もしないことが重要です
2、事故を次の設計に反映させます
◇ 事故原因の徹底追及と、次の設計への反映することが大事です
◇ 関係者の刑事責任を不問にすること、罪を憎んで人を憎まず、が肝となります
3、構成要素を減らします
◇ 事故・トラブルを少しでも減らすためです
チームで仕組みを合わせるためには
1、仕組みのつなぎ方には「直列」と「並列」があります
◇ 直列はシンプルで、コスト効率に優れ、効率よく作るのに適しています
2、生き残るためには、安全性の高い「並列」な仕組みにします
◇ 並列は似た仕組みが複数必要なので効率はよくありません
◇ でも、どこか一つ壊れたとしても全体への影響は少ないと言えるからです
3、チームで仕事をするためには、メンバーの「ベクトル(方向性」と「位相(タイミング」を合わせます
◇ 向きが一定でないと仕組みは動きません
◇ タイミングがずれると無駄に時間やその他のリソースが消費されてしまいます
4、誰でもが危機に対応できる並列的な仕組みづくりで安全性を高めます
5、自動化・自働化は安全な仕組みづくりの基本となります
◇ 専門外の業務も学ばせて、誰でもトラブルに対処できるようにします
◇ 非常時に力を発揮するために「緊張しなくてよい」状況にします
◇ 心理コストを下げるためにも必要となります
◇ インプットに合わせてインターフェースの形を変えていきます
◇ 悪いニュースから伝える、そのためにはリーダーの笑顔が「義務」となります
◇ 仕組みがうまく回らない場合はレイヤーを上げて考えてみます
◇ アウトソーシングはコミュニケーションコストが意外にかかり注意が必要です
「新しい仕組み」を作るヒントとしては
1、何が正しいかではなく「生き残ったもの」「変化に対応できたもの」が正しいと言えます。つまり、38億年前地球上に誕生した「生物」に学ぶことができます。言い換えれば生物の仕組みは38億年間、変わっていません。それは生きてさえいれば、最適である必要はないという証拠なのです。
2、成功も失敗も記録しておき、将来に備える必要があります。仕組みを保存しておくこと、つまり、ひたすら記録をつけること。これに尽きます。
3、自分か求められている「モノ」ではなく「コト」を意識します。自分自身や組織の目的、あるいは自分たちに求められている(と思っている)本質的なコトを疑ってみよとしています。
4、競争が激しい既存の市場「レッドオーシャン」(赤い海)の隙間にある未開拓の市場「ブルーオーシャン」(青い海)を狙う事が基本的な考え方になります。自分が今いる海がどういうところかをしっかり把握して、いったん決めたら、今度は徹底的に食いついて諦めの悪い人間になれと言っています。
5、創発を生み出すには遠くを見過ぎない、つまり、今、自分にできること、今、自分がいるところから物事を見ることを言います。
6、仕掛品(しかかりひん:製造途中にある製品のこと)を作っておき、最後の1ピースがあれば実現できるところまで具現化しておきます。必要なピースが出て来たら、すかさず取りに行きます。自分に何が必要かを常に考えながら、夢をビジョンに変える不断の努力をしながら・・・
仕組みの未来は
「効率重視」から「リソース効率」重視へ移行します。
既存の仕事を片手間に回しながら、新しい仕組みを模索し続けるのが将来の働き方と言えます。新しい状況には、新しい仕組みが必要です。
今まさにその時ではないでしょうか。
久し振りに読み返して、勉強になりました。この先の時代を生き抜くために。