シニア、世界情勢を考える。by tadashian

健康のためノルディックウォーキング・トレッキングに励むシニア、如何にして就業寿命を伸ばすか考える日々そして世界情勢

地域格差の人類史(3)

こんにちは、そして、こんばんは、ただっしゃん(@tadashian1)です。 当ブログにお立ち寄り頂き、誠にありがとうございます。

 

前々回では、いろんな人類がいたのですがホモサピエンスだけが「認知革命」によって生き残った話をしました。

 

www.tadashian.com

 

次はホモサピエンス内でどうして格差が生じてしまったのか、検証してみたいと思います。

参考にさせていただく本はこちらになります。

  

 

ja.wikipedia.org

 

「銃・病原菌・鉄」の著者であるジャレド・ダイアモンド氏は進化生物学者であり、もともと、鳥類の研究をされて、パプアニューギニアに渡っていたそうです。そこで、原住民の方と生活を共にされたそうなんです。

ニューギニアの原住民の方々は1万年以上前から同じ生活をしていたのです。つまり狩猟・採集の生活をずっと続けていたのです。

その原住民からの一言がジャレド・ダイアモンド氏の「銃・病原菌・鉄」の著作にきっかけになったそうなのです。

白人はたくさんモノを持っている。なぜ、私たちはモノを持っていないのだ?」と。

普通なら深く考えずに「働いたら・・・」つまり、狩った獲物を売ったり、木の実を売ったり商売したら、って考えるわけです。

ジャレド・ダイアモンド氏は全く別の視点で考えたそうです。それはどうして、欧州人がニューギニアを征服したのか、また、逆になぜニューギニア人がヨーロッパを征服することが出来なかったのか、と。

f:id:tadashian:20200918112322j:plain

ニューギニアインパチェンス(写真acより)

ここでダイヤモンド氏の考えはとても壮大に派生していきます。

なぜ、ある社会は発展し、他の社会は停滞もしくは発展しなかったのでしょうか?

なぜ、古代エジプト人は巨大なピラミッドを建設することができたのでしょうか。

なぜ、ギリシャ文明はあれほど進んでいたのでしょうか?

根本的・本質的な問いとしてなぜ、世界的な格差が生じたのでしょうか?

ジャレド・ダイアモンド氏が原住民の質問を受けたのが1960年代後半と聞きます。当時の彼なら、白人の方が遺伝的に優れているからではないかと、考えていたかもしれません。勿論、今の時代はそんなことは絶対に口に出して言えません。(black lives matterの時代でもありますし・・・)

歴史が証明したことがあります。それは白人にできた事は日本人にもできました。ヨーロッパの製品よりも優れたものを製造しました。世界第2位の経済大国にもなりました。つまり、日本人できる事は中国人や東南アジアの方々にもできます。(現在発展中です)だから遺伝ではないと思うわけです。

つまり、白人の遺伝が優秀で、世界が制服できたわけではないのです。それは別の理由があるんだとジャレド・ダイアモンド氏は考えました。

すでに、ニューギニアの原住民と生活を共にしたジャレド・ダイアモンド氏は彼らは手先も器用で記憶力も優れていて遺伝的なものはないと確信していたそうです。

 

「サピエンス全史」で紹介したように1万3千年前にホモサピエンスが唯一の人類になりました。当時は少人数で狩猟採集の生活をしていました。食べ物があるかないかで移動しなければなりませんでした。

ところが、人類は1万1500年頃より定住し始めます。それは「農業」を始めたからなのです。

ja.wikipedia.org

ナトゥーフ文化(英語:Natufian culture)は、紀元前12500年から紀元前9500年にかけてレバントに存在した亜旧石器文化。 人類史において農耕が始まる前であるにも関わらず、定住あるいは定住に近い生活が行われていた点に特徴がある。 おそらく世界最古の都市であるとされるイェリコは、この時期に建設された。 いくつかの考古学的証拠は、穀物、特にライ麦の計画的な栽培が、ナトゥーフ文化期後半にテル・アブ・フレイラにおいて行われていたことを示しており、これは人類史における最初の農耕の証拠である。 

 つまり、この頃すでに中東では大麦・小麦等の農業が始まっていた可能性があったのです。でもこの頃すで世界中で農業が始まっていたらしいのです。中国ではコメ、南北アメリカではトウモロコシ・カボチャ・豆類、アフリカではモロコシ(キビ)・芋等の農業が始まっていたのです。

 

「農業革命」が始まった事で格差が生じます。

人々が定住し、農業が始めた場所では文明が発達しました。農業を始めた人たち、狩猟採集を続けた人たちの間で格差が生じました。でも、農業を始めた人たちの間でも格差が生じます。それは地域で作物が異なるからなのです。

農業の生産性に優れたものはなにか、それは中東で農業栽培が始まった大麦・小麦なのです。単位面積当たりの収量がもっとも多いのです。

だから今では世界的に麦が生産されています。アメリカが小麦の生産大国でしたが、もともとは存在しなかったのです。

 

次が「家畜革命」になります。9000年前、中東ヨルダンでは野生動物に家畜化に成功しています。

つまり、1年中、いつでも新鮮に肉を食べる事ができます。家畜からミルクを供給できます。寒さを防ぐため毛皮を得る事ができます。また、後には牛を使って畑を耕す事も可能になりました。

主な家畜としては牛、豚、馬、ヒツジ、ヤギなどでした。家畜になれる条件は生育期間が1年から2年で子をたくさん産み、人に慣れることです。

これらの家畜になれる動物はすべて中東が原産だったのです。

中東はいろんな意味でとてもラッキーだったのです。

小麦・大麦の種をまき、動物を家畜化した事が文明の第一歩だったのです。生産性が上がっていったのです。

生産性が上がることで、農業・家畜業を行わなくても済む人類が現れてきます。考える時間を持てる人が出てきます。農業をもっと効率化するとか、家畜の生産性を上げるとか、です。

一方のニューギニアの方々は、「食べること」だけ考えていました、というかそれを考えないと生きていけなかったのです。つまり、「技術革新の余裕」がなかったのです。だから、文明が生まれなかったと、ダイヤモンド氏は結論づけています。

 

つまり、農業革命と家畜革命の結果であるという事です。まず、狩猟採集を続けた人と農業を開始した人の間で格差が生まれました。農業を開始した人の間でも「よい作物」と「よい家畜」を手に入れた人とそうでない人の間で格差が生まれたのでした。

 

格差は地理的条件で生じた

ダイヤモンド氏の結論です。たまたま、中東がそういう条件が揃っていたラッキーな地域だけなのだということなのです。でも、続きがあります。

なぜなら、いま現在、中東が栄えてる地域とはとても言えないからです。

 

ブログ読者の皆様が、健康でありますように!最後までお読みいただきありがとうございます。 ・・・心はいつもどまんなか。 by tadashian