シニア、世界情勢を考える。by tadashian

健康のためノルディックウォーキング・トレッキングに励むシニア、如何にして就業寿命を伸ばすか考える日々そして世界情勢

定年退職者が手取り14万円問題を考える

こんにちは、tadashianです。

 

巷を賑わしている「手取り14万円問題」を定年退職者で61歳の私が自分なりの考えを記してみたいと思います。

9月末、国税庁が発表した調査結果によると、民間企業で働く正社員の昨年の平均給与は503万円。一方、非正規社員の平均は179万円。正社員と非正規社員の給与額に約320万円の開きがあり、格差社会が浮き彫りになっています。

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ただ、正社員間でも大きな格差がありそうです。ガールズちゃんねるに9月末、「手取り15万円以下の人」というトピックが立ちました。そのなかの投稿主で、自分はアラフォー会社員で、東京都内のメーカーに12年勤務してきましたが、手取りは14万円しかなく、本人は掲示板上で「役職も付いていますが、この給料です... 何もぜいたくできない生活、日本終わってますよね?」と書き込んだらしいです。この書き込みには多くの意見が述べられ、Twitterでも話題となったらしいです。

それに対してなんと、ホリエモンが「お前が終わっているんだよ」と辛辣に批判したことでこの発言がネット上で一気に拡散したそうです。

これは、バブル崩壊後のデフレスパイラルに陥ってしまった過去を引きずる失われた十年?二十年?三十年?の日本経済の問題を如実に表していると思います。

確かにホリエモンの発言に対しては、賛否両論あります、非常に興味深いのは、今の日本社会においては、ホリエモンの発言も投稿主の発言も、見方を変えるとどちらも正しくなってしまう可能性があるという点です。

ホリエモンの意見ははっきり言って、自己責任論ということです。12年の間に能力向上を目指したり、転職にチャレンジしてみたりすることは可能であったのではないか、この状況に甘んじているのは本人の責任だろ、というホリエモンの主張はもっともだともいえます。役職付ということは正社員だと思います。それで勤続12年、手取りが14万円はかなりの低賃金と言えます。これだと会社が終わっていると言えそうです。

じゃあ、今の日本における賃金水準については、どう考えたらいいのでしょうか?

日本の給与所得者の平均年収は367万円ですが(国税庁調べ)、この数字は、悲しいかな過去20年、低下し続けています。アベノミクス以降、賃金の絶対値は少し上がったというものの、物価上昇も進んでいます(消費税もアップしたし)ので、労働者が実際に使えるお金の額(可処分所得)は少なくなってきていると思います。実は日本の賃金はかなり低くなっていて、日本の平均賃金はOECD35カ国中19位だそうです(2018年OECD調べ)。

また、現代はグローバル化が急速に進んできており、一物一価の原則が世界的な視点で成立しやすい状況と言えます。例えばスマホはどの国で購入してもほぼ同じ価格帯なので、平均賃金が安い国の労働者は、賃金が高い国の労働者と比較すると、欲しいモノが買えなくなってきます。

投稿主が、仮にホリエモンが批判したように、あまり努力をせず現状に甘んじている人物だとします。日本ではこうした労働者は、安月給のまま苦しい生活を余儀なくされます。

だけど、これが欧米であれば、努力をしない人でも給与の絶対値が高いので、生活水準は日本人よりも高い、つまり投稿主がもし欧米で生まれていたのなら、この状況にはなっていなかったのではないかと思います。(あくまで可能性の話です。)

グローバル的な観点からもし同じ労働環境の条件の人物であるなら、日本で生活していると貧しい暮らしを強いられるという点においては、「日本終わってますよね」という投稿主の発言も納得できる部分もあると思います。

結局のところ、このネット上の喧噪は、日本を「本当の意味での先進国(欧米並み)」と見なすのか、そうでないかという違いになるのかもしれません。

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私は定年退職して、契約社員として雇用継続を選択して、再出発しています。給与水準は低いです。まさに「手取り14万円問題」がそのまま当てはまります。ただ、私の場合、子どもたちがすでに独立して、子育てのコストはかかりません。(両親の介護はしていますけど・・・)

加えてこの歳になると給与とは別に高年齢雇用継続給付金がハローワークより支給されます。また、シルバー人材センターに登録して草刈りのバイトをしています。少しだけ、ホント少しだけですが給与水準を上げる努力をしています。フォークリフトの免許もなんとか取りました。まだまだ老体に鞭打って、学んでゆくつもりです。

そして、生活費を見直して無駄な固定費を削減したり、浪費を控えたり、残りの人生を慎ましやかに生き抜くことでしょうか。

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本当に大事なのは、本人に生き甲斐はあるのか(私の場合この歳になると「死に甲斐」)、働き甲斐はあるのか、不満があるなら、打開する努力はしているのかが、気になるところです。

また、日本国政府だけでなくニッポン全体が「日本に住んで良かった」と思える国づくりを本格的に着手しなければいけない時にきているのかもしれません。